ユーザー導入事例

中国の二つの工場にFLEXSCHEを導入
SAPとの高い親和性、計画業務の標準化を実現

日本電産サンキョー株式会社様 電子部品

日本電産サンキョー株式会社

日本電産サンキョー株式会社

諏訪大社の門前町、下諏訪町は、東洋のスイスと呼ばれる精密機械工業の町でもあります。

その町を代表する産業の顔の一つが、電子部品やシステム機器関連の事業でグローバルに活躍する、日本電産サンキョー株式会社(以下、日本電産サンキョー)です。同社では変化へのスピーディな対応や国際競争力を強化するべく、技術情報の統合、さらにSAPによる基幹システムの統合を実現し、次のステップとして取り組んだテーマが部品加工計画のシステム化です。

そして、生産スケジューラFLEXSCHEがこのシステム化に大きな役割を果たしました。まず中国の二つの工場にFLEXSCHEを導入。人手に頼らない部品加工計画が可能となり、効率化はもとより計画業務の集中管理や標準化を実現しています。

変化にスピーディに対応するために情報の統合を推進

国際競争力を高めるべく、日本の製造会社の多くは生産拠点の海外展開を図っています。多品種少量化、グローバリゼーションなど、変化への対応とスピードが求められる中、重要なテーマとなるのが、グローバルな観点でいかに品質の向上を図りつつ効率性を高めていくか。この難問を解決に導くカギが、ITの活用による情報の統合と業務の標準化です。

電子部品やシステム機器関連の事業でグローバルに活躍する日本電産サンキョーは、技術情報の統合、基幹システムの統合、さらに部品加工計画の標準化と、ITの活用による情報の統合と業務の標準化を積極的に推進しています。

同社の出発点は1948年、オルゴール試作1号機の完成にまで遡ります。現在では、マイクロモータ、モータ駆動ユニット、レンズ駆動ユニット、ATM用磁気カードリーダ、液晶ガラス基板搬送用ロボットなど、多彩な製品分野で世界トップクラスのシェアを獲得。同社の国際競争力の根幹にあるもの、それは磁気と光学の技術をベースに、素材開発や精密加工などの独自技術を融合したオンリーワンの技術です。

2003年、総合駆動技術の世界的メーカー、日本電産グループの一員となり、グループのシナジー効果を活かしながら、さらなる飛躍を目指しています。現在、同社では「技術はお客様のニーズに応えて初めて価値に生まれ変わる」として、生産性での競争優位、顧客第一主義を貫き、徹底したスピードで顧客の要求に応えるスピード体制の確立を進めています。

計画業務を人手に頼っているリスクは海外では計り知れない

伊藤 耕治 氏

管理本部 システム部 主査
伊藤 耕治 氏

「月産100万個近い電子部品から一品一様のロボットまで製品体系が多岐に広がる中、事業ごとの特性を考慮しながらも、システムの全体最適化を実現するべく2001年にSAPの導入をスタートしました。生産管理や販売管理など基幹システムの統合を図り、海外を含む20拠点すべてに導入を完了したのは2007年のことです。次に取り組んだのが、懸案だった部品加工計画のシステム化でした」と、日本電産サンキョーのシステム部統轄部長、丸山栄家氏は語ります。

同社では、中国、台湾、インドネシア、ベトナムなどアジアを中心に生産拠点を展開していますが、生産性のポイントとなる部品加工計画に関して重大な課題を抱えていました。

  • 計画業務を人に依存していたため、計画業務の均質化が図れていない
  • 担当者が残業して対応しており、現場から増員の要望があった
  • 部品加工計画がシステム化されていないため、現地にノウハウを継承できない
  • 現地で行われていることを迅速かつ的確に把握することが難しい
  • 計画業務担当者の退社等へのスピーディな対応が困難
  • 機械不足との声がある一方で、在庫の軽減が実現できていない

「部品加工計画は非常に難しい。金型や機械の特性も知らないといけませんし、人や工程といった要素が複雑に入り込んできます。まして海外は文化や風習も異なります。計画業務を人手に頼っているリスクは、海外では計り知れません。システム化による計画業務の標準化は急務でした。また、流動的な人材への対応といった面でも不可欠でした」(丸山氏)。

同社ではこれまでにも部品加工計画のシステム化を何度か試みてみましたが、上手くいきませんでした。システム部主査の伊藤耕治氏は次のように説明します。「シミュレーションして確認するのに何時間もかかることが、まず問題でした。計画をつくることが一日がかりになってしまいます。また、SAPにも計画立案の機能はあるのですが、タイムリーな変更には適していません。自分が立案した計画をシミュレーションしてみたいといった要望にも、軽くフットワークよく応えられるものを求めていました」。

そこで、2007年に本格的に生産スケジューラの検討を開始。グローバル展開を考慮し、SAPとのスムーズな連携も重視しました。

FLEXSCHE採用のポイントは柔軟性とSAPとの高い親和性

計画業務のシステム化にあたり、伊藤氏は「部品加工の計画立案はどう行っているのか」を確認するために、改めて同社の国内工場を訪ねてみました。「担当者の頭の中に機械ごとの能力が入っていて、オーダーを見ながら隙間を埋めていく。そうしたやり方は直感的に操作可能なFLEXSCHEの機能が活用でき、FLEXSCHEならやろうとしていることができると思いました」と、伊藤氏は1つの採用理由を明かします。

FLEXSCHEの柔軟性も採用のポイントになりました。「FLEXSCHEは思い通りのスケジュール結果を導く設定もできますが、最終的に人が判断を下す余地が残るように設定し、あとは自由に手で動かすこともできます。そうした柔軟性も魅力でした。また、SAPとの連携に関してもFLEXSCHEのインターフェースが柔軟にできているため、SAPとの連携イメージを直ぐに掴むことができました。」。

2008年初頭にまず中国の平湖(ピンフ)工場と石龍(シーロン)工場にFLEXSCHEを導入。SAPでMPS(Master Production Schedule:基準生産計画)を立ててオーダーをつくり、そのデータをFLEXSCHEへ。ベースとなる計画データは本社のシステム部でつくり、中国の工場に提供し、変更があれば中国側の計画担当者が対応していきます。指示書はFLEXSCHEの画面をアウトプットしたものを使用し、FLEXSCHEで立案した結果はサーバに入れ、日別や時間別のExcel表でアウトプットできるようにして本社での集中管理を実現しています。

また、一部の実績はFLEXSCHEに取り込んでいます。「多工程の場合FLEXSCHEに実績を取り込むことで、次工程以降の計画立案精度を高めています」(伊藤氏)。

家電製品のモータ駆動ユニットを扱っている平湖(ピンフ)工場ではFLEXSCHEによる計画業務が定着し、すでに導入効果が表れてきています。

計画業務の大幅な効率化と標準化を実現

平湖(ピンフ)工場の部品加工計画は、周期的計画をつくり大きな変更がなければそのまま続けていくというかたちをとっています。「1回の計画立案に1人の計画担当者が2日間くらい夜遅くまで残業して対応していたため、増員したいという要望もあったのですが、FLEXSCHE導入後は1人の担当者で1日かからずに計画を立てています。また、別の工程には別な計画担当者もつける予定でしたが、FLEXSCHEの導入により、両工程とも1人の担当者で余裕をもって行っています」(伊藤氏)。

一方、石龍(シーロン)工場の導入ではいくつか課題がありました。同工場は音響・映像機器・デジタルカメラ・産業用ロボットに使われるモータを多品種扱っており、なおかつレース(丸い棒のシャフトにネジを切って加工すること)といった多工程を伴う作業もありました。また、計画担当者の職人的な意識も障壁となっていました。

「石龍(シーロン)工場では5人の計画担当者で対応しています。その中のリーダーには平湖(ピンフ)工場まで研修に行ってもらいました。計画業務の自動化を自分の目で見て、実際に平湖(ピンフ)工場の担当者にいろいろと話を聞くことで、本人の意識が大きく変わったようです。担当者の意識の変化は大きな前進です」と、伊藤氏は明るい声で話します。

他の工場へのFLEXSCHE導入も視野に

丸山 栄家 氏

管理本部 システム部 統轄部長
丸山 栄家 氏

FLEXSCHE導入により人手に頼らない部品加工計画のシステム化を実現できたメリットは大きいと丸山氏は話します。「日本で部品加工計画がシステム化されていなかったので、現地にノウハウを伝えられなかったのですが、FLEXSCHEの導入により計画業務が標準化され、ノウハウも継承していくことができます。また計画担当者が退社したとしても、次の人は金型や機械の能力をすべて覚える必要はなく、迅速な対応が可能です」。

計画業務の考え方も大きく変わったと伊藤氏は強調します。「いままでは一日をベースに考えていましたが、いまは何時から段取りをやって何時からスタートと、「日管理」から「時間管理」へとシフトできました。また、従来、機械が足りないといっていた平湖(ピンフ)工場ですが、現在は20%くらいが計画停止となり、在庫の軽減も図れています」。

また、FLEXSCHEを実際に使用してみた感想について「スケジューリングした際、1分程で結果が画面に表示されるのには大変驚きました。私たちがシステム化すれば、1時間、2時間は要する処理です」と、伊藤氏は語ります。

同社ではシステム部がすべてシステム導入を行っています。「ユーザーから何か問い合わせがあった場合、いちいちメーカーやシステムインテグレーターに問い合わせていては対応が遅れてしまいます。私たち自身が導入していれば、問い合わせにも迅速に応えることができます」(丸山氏)。現在、同社のシステム部は41名体制、グローバルに展開するビジネスの基盤を支えています。

今後の展開について丸山氏は「2008年の夏にSAPをバージョンアップしました。今後は安定運用とともに経営指標への情報の活用も重要なテーマです。また、インフラをより効果的に活用するべく、FLEXSCHEの勉強会等にも積極的に参加し、スキルを一層高めていきたい。シンガポールやベトナムなど他の工場へのFLEXSCHE導入も視野に入れています」と、力強く語ります。

導入企業概要

日本電産サンキョー株式会社様

本社 長野県諏訪郡下諏訪町5329
設立 1946年(昭和21年)6月18日
資本金 35,270,101,264円(2008年3月末日現在)
事業内容 電子部品関連事業(マイクロモータ、モータ駆動ユニット、精密プラスチック成形品、メカユニット等)、システム機器関連事業:産業用ロボット、カードリーダ、その他(オルゴール等)
URL

http://www.nidec-sankyo.co.jp/

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