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フレクシェカップ2013を振り返って

なくならなかった人垣 ― 競技ビリヤードは受け入れられたか?

フレクシェカップ2013で羅立文選手が優勝を決めた瞬間 [撮影:EST.]

地元・横浜のプロビリヤードプレイヤー、羅立文(ロー・リーウェン。台湾出身・横浜在住。JPBAプロ)が、『クイーンズスクエア横浜』で決めたガッツポーズは最高に格好良かった。12月15日(日)の夜。陽も落ち、冬の冷気が漂っていたあの場所は寒かったけれども、ビリヤードファンだけでなく、少なからぬ通行人も足を止めて決着の時を熱く見守っていた。やがて訪れた歓喜の時――確かにあの時、通りすがりの人も「競技スポーツ・ビリヤード」を見続けていた。

日本のビリヤードプレイヤーや業界関係者など、筆者を含めたビリヤード畑の人間は、たぶんこの何年も臆病だった。自分達が愛するビリヤードが素晴らしい競技スポーツであるという自負と誇りを持ちながら、一方で、「世間」から軽視されることや敬遠されることに慣れ、「マイナースポーツですから」と卑下することへの抵抗感も薄れていたのだと思う。

だから、大会初日(14日)、朝からテーブルを取り巻く人々を見ても「物珍しいのだろうな」と筆者は冷静だった。冷静でいようとした。しかし、その人垣が昼過ぎになっても夕刻になってもなくなる気配がないどころか、続々と人が増えていっていることに気付いた時、じわっと胸が熱くなった。「ビリヤード、ありなんだ」。素直にそう思った。きっと大会に関わった全ての人々が、似たような感慨を抱いたのではないかと筆者は思っている。

多くの観客に囲まれた試合会場 [撮影:浦野幹夫]

大都市横浜のショッピングモールでビリヤードイベントを開催する以上、及び腰でお見せするという選択肢はあり得ないが、そうは言っても怖かった。人々の無関心が。しかし、あの「なくならない人垣」がパワーをくれた。シンプルに言って、ビリヤードというものが肯定された感が強かった。恥ずかしい話だが、大会前に2度に渡って下見をした筆者にも、ここまでの盛況は想像できなかったのだ。

ただ、一般の人々がたちどころに競技ビリヤードの世界を理解してくれたとは言えないだろう。「なんかルールがわかりづらいね」「今、誰もいないけど、何の時間?」。そう言って立ち去る人もいた。なにしろ、今回が旗揚げイベントである上に、題材は文字通り「密室」に長くいたビリヤードなのだ。それでも、こういった反応はコンテンツそのものの否定ではないと感じられた。一度は足を止めていたのだから。まだまだ調理法とサーブの仕方で変えられる部分だろう。

そのギャップを敏感に察知したビリヤード人もまた多かった。出場したプロ達、大会関係者、さらには観戦に訪れたビリヤードファンまでもが、自発的に通行人に声を掛け、チラシを渡し、解説をしていた。それでもなお、ナインボールのルールや大会フォーマットは初めて観る人にはわかりづらかったはずだけれども、あの人垣が崩れることがなかったのはそういった草の根運動があったからだと考えている。

個々人の献身的な宣伝活動の極めつけは優勝した羅かもしれない。彼は、自分の試合がない時はギャラリーの人垣に入っていき、パンフレットを配っていたという。その数およそ50人。このエピソードには筆者も言葉がなかった。また、もう一人、野内麻聖美(のうち・まさみ。JPBA)の存在も忘れてはならない。彼女は2日間、大会メインMCとしてマイクを握り、自分に求められる(しかも難しい)パフォーマンスを完璧に披露した。彼女の喋りが繋ぎ止めた通行人もたくさんいたはずだ。筆者が個人的に大会MVPを挙げるならば、即答で羅と野内の2名である。

試合をプロジェクタで映してリアルタイムで
解説する(株)ジャストドゥイット谷崎社長
[撮影:Billiards Days]

もちろん現場力だけが際立っていた訳ではない。企画段階から暖められていた数々の「秘策」も奏功していた。顔出し看板の設置、大型スクリーンでのナマ解説、観戦ガイドと出場選手紹介を掲載したパンフレットの配布、2台のテーブルのラシャ色による呼び分けなどといった、主催者JBプロモーションズとフレクシェ代表の浦野幹夫氏のさまざまなアイディアの成果として、事実、多くの通行人を滞留させることに成功していた。

その人垣がまた人を呼ぶ。「あそこでビリヤードやってるよ!」。若いカップル、老夫婦、家族連れ、そして、おとなしく見続けていた幼児と小学生達も多かったように思う。偶然目にしたあの大きなテーブルとカラフルなボール。それを1本の棒で巧みに操る正装の大人達は、ちびっこ達の目にどう写っただろうか。

本大会会場で協力出展した
「難民を助ける会」スタッフ [撮影:EST.]

「『ビリヤードやってるよ!』の声は聞けば聞くほど嬉しかった。会場には見知ったビリヤードファンの顔も多く見られましたが、それ以上に、わずかでも足を止めて下さった一般の方々がかなり多かったと思います。とても感慨深い光景でした」

JBプロモーションズ代表の加藤直哉氏は人垣を見渡してそう語った。「最上の環境でお見せする最高級の競技ビリヤード」を、世間に問うことはまずできたのではないかという手応えを感じていた。それを成し得た要因は、繰り返しになるが、イベントのグランドデザインの的確さ、ビリヤード人達の現場力、そして、ビリヤードというスポーツの持つポテンシャルの高さという3要素に集約されるのではないかと筆者は思う。もちろん16名のトッププロ達によるトーナメントそのものもハイクオリティなものだった。

フレクシェカップに続く『プロフェッショナル・ゲームズ・オブ・プール』シリーズ第2弾はまだアナウンスされていない。その実現可能性の考察を含めた、今大会のより詳細なレポートは新年1月にお届けする予定だ。

文・小林亨 (Billiards Days主宰)

2013.12.19 掲載

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