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フレクシェカップ2013大会直前レポート

数日後、みなとみらい横浜に「名手」がずらりと揃う。筆者が敬愛してやまないビリヤードのプロ達だ。「ボードゲーム」とも「レクリエーション」とも括られるビリヤード。そう思っている人にこそ、ぜひ生で16名のプロの妙技をご覧頂きたい。彼らは「競技スポーツ」としてのビリヤードの専門家たち。その手にかかれば、ナインボールというゲームが驚くほど簡単に見える。ミスなくカラーボールを落とし続けられるのは魔法か強運か。否、彼らは意のままに白い「手球」を操っているのだ。直径6cmに満たないの球の上下左右を撞き分けて――。

「その面白さに魅せられて我流でビリヤードを始めました」とにこやかに語るのが株式会社フレクシェ代表の浦野幹夫氏。氏はプロのレッスンを受けたり試合を観戦したりプロ達と言葉を交わす中で、「ビリヤードの普及のために関われることはないか。例えばプロ選手達のステータス向上に寄与する一つの方策として、うちのような小さな会社でも、トッププロ達が出る大会の冠スポンサーになれるのでは?」と考えた。これが、今回の『フレクシェカップ』(以下、FC)を第1弾とする新たな競技ビリヤードイベントシリーズ、『プロフェッショナル・ゲームズ・オブ・プール』(以下、PGP。「プール」はナインボールなどポケットビリヤードを指す言葉)の原点だ。

「1回限りの単発イベントでは『やった』『終わった』で発展性がないと思いました。他のプロスポーツと同じように、一連のシリーズに恒常的に一般企業がスポンサーとして名を連ねている状況が理想です。そこで、まず弊社が第1弾のスポンサーとして手を上げつつ、実際のスポンサー活動をパッケージ化し、本シリーズの営業活動の底本とすることを提案したのです。もちろん一企業のPR活動としてプラスになると考えて」(浦)

浦野氏の発案を受け、数名のビリヤード関係者が大会創設への歩みを始めたのが2012年の夏。日本プロポケットビリヤード連盟(JPBA)と協力関係を作り、この新シリーズをプロモートする団体として『JBプロモーションズ』ができたのが今年のことだ(浦野氏自らも協力スタッフとして立ち働いている)。

PGPの理念はシンプルだ。「最上の環境で最高レベルのビリヤードを世間に見せること」。だからこそ、FCの出場メンバーをトッププロ達で固め、一般買い物客が多く通りかかる『クイーンズスクエア横浜』を舞台に選んだ。浦野氏は「選手達にプレッシャーを掛けるようですが」と微笑みながら、「『これが最上級だ』というプレーを見せてほしい」と述べる。

「ビリヤードというスポーツを世間に問う時に、俎上に載せるものは最高級のものでなくてはならない。つまり、FCは選手同士の戦いである以前に、一般のお客さんやスポンサーになりえるかもしれない一般企業に、ビリヤードやそのプロ選手をお披露目する場であるということです」(浦)

出場する16名がどういう意識でFCに臨むのか、その心底までは筆者にも読めない。ただFCは、既存の多くのプロ大会のようにビリヤード場の中で完結する「競技会」ではない。広いオープンスペースで延べ数万人の「へえ? ビリヤードか」という好奇の目にさらされることになる。16名は、競技者でありながら、ビリヤードのセールスマンの一人であるという自覚も求められるだろう。

今大会の「成功」とは何か。筆者は「次の大会」、すなわちシリーズ第2弾だと考える。その大会を作ってくれるものは何か。ビリヤードは観るに値するスポーツであると感じた一般客の声であり、ビリヤードは投資するに値するスポーツだと判断した企業だ。では、ビリヤード側の人々にできることとは? ――このFCは、ビリヤード人各々の当事者意識の持ちようが問われる場でもある。

本番前から少々肩に力が入りすぎてしまったかもしれない。筆者の地元、横浜で、国内競技ビリヤード界のブレイクスルーになるかもしれないイベントが始まることにいささか興奮している。ビリヤード人を載せたフレクシェカップ号の横浜処女航海ツーデイズの模様は、追ってここでレポートしたい。

「全てが魅力的な大会」- 男子ランキング1位・土方隼斗
「男子に『手強い』と言わせたい」- 女子ランキング1位・河原千尋

ご存じなかった方は驚くかもしれないが、現在、日本には男女合わせて約280名のポケットビリヤードのプロ・プレイヤーがいる(日本プロポケットビリヤード連盟=JPBA)。彼らはいわば「競技スポーツとしてのビリヤード」のトップ選手達。月1~2回、日本各地のトーナメントや国際大会に出場している(ナインボールなどで競う)。

2013年ジャパンオープンでのダブル優勝を
祝福しあう土方隼斗プロと河原千尋プロ
[撮影:JBプロモーションズ 加藤直哉氏]

今回のフレクシェカップ(以下、FC)には、そのプロランキングの上位勢が軒並み出場することが一つの目玉。とりわけ、今年の『ジャパンオープン』で優勝し、2013年ランキングで1位に輝いた土方隼斗(ひじかた・はやと)と河原千尋(かわはら・ちひろ)という若き男女のエースプレイヤーにご注目頂きたい。

まずは土方に、大会数日前の心境を直球で聞いてみた。

「当日が楽しみですね。僕らプロ達は、例年『全日本選手権』(11月)で1年が終わるという感覚ですが、今年は12月にFCがあります。今年一番楽しめるイベントかもしれない。良い意味で気楽に挑めるかな」

そう。プロ・ビリヤード界で12月は、公式戦のないポストシーズン。そこに組まれたFCは、競馬でいう有馬記念のような「年末のお祭り」だ。今大会に臨む土方の「良い意味で気楽に」という言葉は、「既に1位を決めたプロ」の余裕が言わせたのかもしれない。

「1位の選手として第1回大会に出るって誇らしいですね。できることなら、FCでも1位を獲って2013年を一番尽くしで締め括りたい」

ところで、土方はFCのことを初めて聞いた時、どう思ったのか。

「横浜の特設会場でプレーできること、トッププロ達の試合を見せることが中心のフォーマットであることなど、全てが魅力的に思えました。仮に僕に決勝ラウンドのシードがなかったとしても、事前予選から出ていましたね」

この言葉はポーズではない。土方は国際試合の現地予選にも自費で飛び込んでいくほどに貪欲な選手だ。「興味深いことの一つが……」と言葉を継ぐ。

「河原千尋プロと梶谷景美プロという女子トッププロも出場されること。男子プロとの試合になりますが、どんな風になるのか個人的に楽しみです。男子プロの側にかなりプレッシャーがかかると思うんです」

それは筆者も注目のポイント。そして、もちろん土方自身にも「トッププロ」のプレーが期待される。

「もちろん良いプレーをしたいですが、まずはあのクイーンズスクエアという場所で、『ビリヤードプロの代表として見られている』という意識を持ち続けていたいですね。その上で、あそこで初めて撞いてみて何を思うのか。それが自分でも楽しみです」

7月のジャパンオープン以来の派手なガッツポーズが見られるか? 土方の初戦は14日15時の予定。相手は予選を通過してきた渡辺剛史だ。

◆◆◆◆◆

続けて河原千尋のコメントをお届けしよう。

土方の談話にあったように、今回のフレクシェには2名の女子トッププロが出場する。ゴルフやテニスなど他のプロスポーツと同じように、ビリヤードも通常のプロ公式戦で男女が同じ土俵で競うことはまずない(体格や筋力差からやはり男性が優位である)。しかし、河原と梶谷は、「男性顔負け」と評される競技力を誇っている。

……と、それとなく水を向けたところ、「はははは、いやいや」と河原。

「やはり慣れてないですよ。チーム戦を別にしたら男女混合の試合は久しぶりで、緊張しています」

男女で力量差があることは河原もわきまえている。だからか、必要以上に意気込むこともなく本番までの期間を「いつも通りに」過ごしている。

「男子プロと戦うのはいつもと違う緊張感がありますが、いつも通りの準備をしてFCに臨む。あとは始まってみないとわからないですが、確実に自分にプラスになるでしょうね」

プラスになるものとは? 河原は響きの良い声ではきはきと答える。

「試合での経験値という意味でもそうですが、当日のスケジュールを見て、いちイベントとして身になる体験ができそうだと思っています。MCの方(※15日の堀潤氏)の存在など、ビリヤードビリヤードしていない要素がありますし」

余談だが、大阪在住の河原にとって今回が初めての横浜なので、交通機関の確認から準備を始めている。それは、過去の国内外の遠征で幾度と無く繰り返された儀式のようなもの。そして、「ショッピングモールの特設会場」にも慣れっこだ。

「まず会場まで辿り着くことが仕事ですからね(笑)。ショッピングモールでの試合は日本でも台湾でもフィリピンでも経験していますから、変な緊張はないと思います。特別なパフォーマンスですか? それは男子の皆さんに任せて良いですか?(笑)」

さて。本番の14日。河原は西尾祐と対戦することが発表された。試合はおろか練習でも遊びでも一緒に撞いたことはない。

「もう誰に当たっても全力を尽くすとしか言えないですね。ただ……男子プロ側は、『女子と当たるのはラッキー』と思っているかもしれませんが、全力で面倒臭い相手になりますよ、私(笑)。『手強い』と言わせたいと思っています」

河原が男子と対等以上に渡り合えるのかどうか。注目の試合は14日13時頃から。

「理念に共感して参戦した」 - 予選敗退・菊嶋淳史のコメント

惜しくも予選最終で敗退した菊嶋淳史選手
[撮影:Billiards Days]

既報の通り、池袋『ロサ』での予選通過者は4名のプロ(こちらを参照)に決まった。本稿では惜しくも最終決定戦で敗れた菊嶋淳史(きくしま・あつし)のコメントを掲載する。予選での菊嶋は実に良い顔で堂々と球に向かっていた。

しかし、本人は予選から24時間経ってなお、「甘さを出した自分」を悔やんでいた。

「ほぼ自分を貫けたし、気持ちの緩みもなかったつもりですが、最後で甘い選択をして負けた。すごく後悔しています。横浜に行けたらもっと経験値を積めたのに」

FCの予選が開催されると知り、すぐ出場を決めた菊嶋は、まだ「未勝利のプロ」だ。先を行くプロ達との差を少しでも縮めるために、チャレンジし続けることを己に課している。FCの予選枠は4つのみ。そんな狭き門であっても、「チャンスがあるだけ良い」と納得ずくでエントリーした。

「イベントの趣旨が『オープンな場所で最上の競技ビリヤードを一般の方に観てもらう』だし、トップランカーに枠がたくさん割り当てられるのは当然。年間を通して活躍したプロ達はあそこに立つ資格があって普通というか。だから、逆に予選があるのがラッキーという感覚でした」

その予選で100の力を出し切ることができなかった。しかし、キューを握っている時に沸き上がってきた「感謝」の念が、最後まで菊嶋に胸を張らせていた。応援してくれた仲間だけでなく、主催者とスポンサーへの感謝。

「僕はJBプロモーションズの理念に共感したし、実績の乏しい僕らにもチャンスを作ってくれたことにお礼を言いたいです。この規模のイベントは、労力と金銭と時間、だいぶ掛かってると思うんです。それに応えるのは、今の僕にはプロらしく戦うしかなかった。だから、失敗しても前を向いていようって。それは今まで自分が苦手にしていたことなんですけどね」

顔を上げてプレーしていた菊嶋の目には、周囲のテーブルの光景が見るともなく入ってきたが、そこにわずかな違和感があった。

「『あれ? いつもより皆、カッコイイぞ』って。きっと皆の『予選を通りたい』って気持ちは普段の比じゃなかったんじゃないかな。僕もそうだったし、僕に勝った嶋野聖大(しまの・まさひろ)プロもそうだったでしょう。だから、素直に思えますよ。『マサ、横浜で頑張れよ!』って」

文・小林亨 (Billiards Days主宰)

2013.12.12 掲載

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