FLEXSCHEを標準スケジューラとして国内外の工場へ展開
多業種の業務ニーズに応える優れた柔軟性を高く評価
株式会社エム・エス・アイ様
- 2013年10月制作
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日本を代表する総合化学メーカー、カネカは世界にその実績と技術を認められたグローバルカンパニーです。同社の素材を活用した製品は自動車からスマートフォン、医療機器、食品まで多岐にわたっています。世界に事業を展開し成長を続ける同社は、2020年に売上高1兆円、海外売上比率70%の長期ビジョンを掲げています。 その実現に向け、ICTを活用し製造現場の生産業務の革新を図っているのが工場システム開発グループです。同グループは、本格的なMES(Manufacturing Execution System)の開発、導入を各工場・製造に展開するため、標準スケジューラとして多業種の業務ニーズに応える柔軟性を高く評価しFLEXSCHEを採用しました。最初のステップとして大阪工場とカネカマレーシアに導入。 属人化を解消し業務の効率化を図るとともに、計画の質の向上、最適化に向けて営業と現場の間での情報共有を目指しています。
2020年に売上高1兆円、海外売上比率70%の実現に向けて
「カガクでネガイをカナエル会社」のテレビコマーシャルでおなじみの総合化学メーカー、カネカ。近年、注目度の高い機能性食品素材「コエンザイムQ10」をはじめ、スマートフォンなどモバイル機器に欠かせない電子材料、太陽電池、血管内治療用カテーテルなど様々な業種で化学からのアプローチにより新しい価値を創造しています。
2009年、創立60周年を迎えた同社は「人と、技術の創造的融合により未来を切り拓く価値を共創し、地球環境とゆたかな暮らしに貢献します」という新しい企業理念を掲げ、2020年に売上高1兆円、海外売上比率70%を目指す長期ビジョンを打ち出しました。
「長期ビジョンの実現には生産業務の革新が欠かせません。新製品開発のスピードアップや製造拠点の海外進出の拡大、従来から取 り組んでいるコスト削減や業務の効率化を加速させることも必要です。こうした改革を推進する上でICTの活用は重要なポイントとなります。2001年から部分的なMESの導入が高砂工業所で始まり、その重要性が徐々に全社的に認められ、2012年に工場システム開発グループが新設されました」と工場システム開発グループリーダー 村上悟氏 は語ります。
ICTを活用して製造業務の効率化や課題解決を図る同グループは、MESの開発、導入を進める一環としてスケジューラの検討を開 始。同社は経営戦略において人員を増やすことなくマンパワーを最大限に創出することを基本に据えていたため、属人性の高い生産計画立案業務の課題解決にスケジューラなくしては長期ビジョンの実現は困難でもありました。
計画立案は”作業”をこなすのではなくベストな計画の追求が大切
生産技術本部 生産技術部
工場システム開発
グループリーダー
村上悟氏
スケジューラの最初の導入は、大阪工場とカネカマレーシアの両工場 に行われることになりました。
大阪工場への導入では機能性樹脂の1つ、耐侯性MMA系フィルム「サンデュレン®」の製造を対象としました。柔軟性に乏しいMMA系 樹脂のフィルム化を日本で初めて実現した同製品は、長期の耐久性が必要な屋根材のラミネートや自動車加飾フィルム、反射シートなどに 使用され高い評価を得ています。
従来、同製品の生産計画はMicrosoftExcelで作成していましたが、属人化が進み、業務の標準化や変化への対応面に課題が生じていました。
「サンデュレン®の製造では、ペレットをつくり、そのペレットを材料にしてフィルムをつくります。1つの製品に中間品が存在するため、管理す る品種数は300種類くらいになります。多品種であることに加え、ある製品をつくった後にはこの製品はつくれないなど制約条件も複雑です。また、お客様の急なオーダーに対してフレキシブルに対応できるこ とによって優位性は確保できますが、MicrosoftExcelを使って人の頭の中で計画を試行錯誤していては迅速な対応も難しい。その計画が本当に良いのかどうか考える時間的な余裕もありません」と工場システム開発グループ山口貴史氏は話します。
生産技術本部 生産技術部
工場システム開発グループ
主任
島原昭二氏
従来の計画立案における計画の質の面での課題について、工場 システム開発グループ 主任 島原昭二氏は「今の計画立案は”作業” になっています。計画を立案したら”作業”は終わりです。重要なことは、より良い計画を追求すること。どう生産を組んだら最も効率的でコスト削減が実現できるのか。そこに計画を立てる意義があります。また、計画には中長期的な視点も求められます。計画期間が一週間程度ならばMicrosoftExcelで計画することも可能でしょう。ただ一か月 単位ともなると人手で計画するのは困難です」と指摘します。
一方、カネカマレーシアへの導入では様々な製品への展開を視野に、まず塩ビ強化用樹脂のカネエース®Bの製造を対象としました。建材、パイプ、ボトルや包材などに活用されるカネエース®Bは、カネカが世界シェアのおよそ半分を獲得している主力製品の1つです。
カネカマレーシアのスケジューラ導入には国内向けと違う目的もありました。「カネカマレーシアはこれから事業を拡大していきますが、1人の 担当者が複数製造課の計画を組むことを目指しています。そのためのツールがスケジューラです。また、工場全体の観点に立って導入することで投資対効果の最大化を図ることが求められていました」と島原氏 は話します。
スケジューラを標準化し展開していく観点からFLEXSCHEを選択
スケジューラの選択では、標準化し展開していく観点が重視されました。そこで大きなポイントとなったのが「2つの柔軟性」です。
1つめは、さまざまな部門の制約条件に対して標準機能で対応できる柔軟性です。「2007年頃、研究部門に在籍していたとき、カネカグループの関係会社にスケジューラを導入することになりました。導入先の制約に対して私ならアドイン開発をできますが、私がずっとサポートするわけにはいきません。大切なのは、導入先の生産計画の担当者がパッケージの標準機能で様々な変更を行えるということです。当時、多くのスケジューラを調査しましたが、アドイン開発することなく導入先の複雑な制約を満たすことができたのはFLEXSCHEだけでし た」と工場システム開発グループ 主任 新名英紀氏は話します。
2つめは、標準機能で対応できなかった場合、自社仕様の機能を容易に追加できる柔軟性です。同社は多種多様な製品を製造しており各部門によって制約は異なります。そのため標準機能だけで対応しき れない部分がどうしてもでてきます。FLEXSCHEは、内部にアクセスするためのファンクションがオープンに公開されているため、自社仕様の機能が開発しやすいなど、やりたいことを実現するための仕組みが 豊富に用意されています。
「重要なポイントは、標準機能の充実によりアドイン開発が少なくて済むこと、また各部門の個別の制約に対してアドイン開発がしやすい こと、この2つの柔軟性です。コストも重要ですが、やりたいことができなければ意味がありません。アドイン開発を最小限に絞りコストを抑えながら、やるべきところはしっかりとアドイン開発ができる。そういう観点からFLEXSCHEは他製品に比べてコストパフォーマンスが非常に優 れていたと言えるでしょう」(島原氏)。
さらにユーザーの声を反映するスピードも重要になると島原氏は話し、こう続けます。「5年前、FLEXSCHEを調査した時期がありました。 今回、全社展開に向けてスケジューラを検討していく過程で、改めてFLEXSCHEのプレゼンテーションを受け、その進化に驚きました。コス トや作業負荷の面からパッケージのバージョンアップで環境の変化に 対応していくことも大切です。FLEXSCHEは日々ユーザーの声を反映するスピードが他社よりも速いのだろうという実感を持ちました」。
スケジューラの検討は2011年夏から開始し秋にはFLEXSCHEの採用を決定。2012年初頭に、カネカマレーシア、大阪工場に FLEXSCHEを導入しました。両工場ともいまはまだ現場への定着を図っている段階ですが、属人化の解消は進んでいるとのことです。
「従来のやり方を変え、現場に定着させるためにはそれなりの時間がかかりますが、FLEXSCHEの導入により誰でも制約条件を盛り込んだ計画を作成できるようになりました。今後、担当者が変わっても一定水準の計画をすぐに立てることが可能です。ローテーションを組むこともできるようになるなど人材活用の面でのメリットも大きいですね」 と山口氏は話します。
「立案される計画がたとえ100点ではないにしても、スケジューラによって制約を守った計画を組むことができるというのは非常に大きな成果です」と島原氏も話します。
計画の評価基準づくりと最適化に向けたデータ活用が今後のテーマ
生産技術本部 生産技術部
工場システム開発グループ
主任
新名英紀氏
工場システム開発グループは、今後FLEXSCHEを活用していく上で2つのポイントを挙げました。1つめは、計画の評価です。複雑な制約 条件の中、FLEXSCHEを使って作成した計画の良し悪しを判断する基準をどうするか。「それは個人の判断であり、他の人が参考にし たくても実行するのは難しい面がありました。FLEXSCHEを利用することでデータに基づくシステムによって作成したということがまず1つの基準になります。しかし、ベストな計画を求めてシミュレーションを行う中 で何を基準にして判断するのか。FLEXSCHEの評価チャートなども参考にしながら、計画の評価基準をつくっていきたいと考えています」 と新名氏は話します。
2つめは、生産システムの最適化です。販売情報や製造情報、生産の進捗情報など製造に関する情報が集まる生産管理を中心に、情 報を有効活用し経営への貢献度を高めることが目的となります。「営業部門が生産部門に提示した「納期」はお客様が本当に必要としている「納期」なのか、営業部門の感覚にもとづく「納期」なのか。例え ば、この納期のために生産効率が下がり、経営的にはこれだけ損失が生じるといった分析結果を営業にフィードバックできれば、会社とし ての最適化に向けた取り組みにもつながります。お客様の信頼に応えながら効率を上げ、利益を生み出す仕組みの実現はこれからの重要 な課題です」(村上氏)。
「カネカマレーシアでは、すべての製造情報が集まる生産管理部門を中心に、営業や製造現場の担当者が情報を共有できる仕組み をつくっています。営業も生産の進捗具合を見ることができます」(島 原氏)。
今後の展開について「FLEXSCHEを導入して良かったと思うことの1つがフレクシェ社によるアフターフォローです。カネカマレーシアか ら要請のあった「日付のグローバル対応」をはじめ、私たちの「こうしたい」というニーズに迅速に応えていただいています。今後、生産計画 の標準化を進めていく過程で生じる様々な要求や課題に対し一層のご協力をお願いいたします。またFLEXSCHEの海外工場への展開も拡大していきたいと考えていますので、サポートも含めてグローバル 面の強化にも期待しています」と村上氏は話します。
生産技術本部 生産技術部
工場システム開発グループ
山口貴史氏
長期ビジョンの実現に向けて生産革新を進めるカネカ。その推進力となる工場システム開発グループとともに、FLEXSCHEは同社の 標準スケジューラとして進化を続けていきます。
パートナー情報
株式会社エム・エス・アイ様
設立 | 1949年9月1日 |
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大阪本社 | 大阪市北区中之島2-3-18 |
東京本社 | 東京都港区赤坂1-12-32 |
資本金 | 330億46百万円(平成25年3月31日現在) |
従業員数 | (連結)8,600名 (単独)3,289名(平成25年3月31日現在) |
事業内容 | 化成品、機能性樹脂、発泡樹脂製品、食品、ライフサイエンス、エレクトロニクス、合成繊維等 |