工場の基幹システム刷新とともにFLEXSCHEを導入
国内3工場でFLEXSCHEを活用
積水化成品工業株式会社様 素材
- 2014年9月制作
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日本を代表するプラスチックス・ソリューション・カンパニー、積水化成品工業は「積水化成品グループ100年ビジョン」のもと、さらなる成長と真のグローバル企業を目指し様々な取り組みを進めています。その一環として経営基盤の強化や業務の効率化を目的に工場の基幹システムを刷新するとともに生産スケジューラの導入を決断しました。生産スケジューラを導入することで各工場の工程計画立案における課題を解決し、工程計画情報を基幹システムに連携することを狙いました。
従来、工程計画はExcelで作成されており、基幹システムに取り込むためには大変な作業を伴うことから工程計画情報と生産管理システムは切り離されていました。生産スケジューラには「業務要件に応えることができる柔軟性」、「新基幹システムとのデータ連携のしやすさ」、「Excelを超える使いやすさ」を求めました。同社は検討を重ねた結果、ガントチャートなどの優れたユーザーインターフェースと、データ連携のしやすさ、豊富な標準機能に加えて自在なアドイン開発が行える柔軟性を高く評価しFLEXSCHEを選択。積水化成品天理、同社岡山製造部、積水化成品関東にFLEXSCHEを導入し、その成功ノウハウのもと海外生産拠点への導入・展開を目論んでいます。
グローバルに顧客から信頼される
プラスチックス・ソリューション・カンパニーを目指す
積水化成品工業株式会社
発泡スチロールは、空気が大量に含まれていて環境への負荷が少ないうえ、断熱性や緩衝性といった特長を備えているため、食品トレー、カップ麺の容器、果物パック、包装材・梱包材等、利用分野は多岐にわたっています。1959年創業の積水化成品工業は、日本を代表するプラスチックス・ソリューション・カンパニーとして世界トップレベルの 発泡プラスチックス技術を基軸に先端技術を融合し新たな付加価値を創造しています。
例えば、独自技術を駆使し生まれたピオセランは軽量性と緩衝性に優れた自動車部材として、また真球状微粒子ポリマーのテクポリマーはブルーライトを最大60%抑制し液晶ディスプレイに欠かせない部材として使われています。その他にも使用済み発泡スチロールの再利用、植物由来樹脂発泡体など環境良化に貢献する製品の開発にも積極的です。
創立50周年を迎えた2009年、積水化成品工業は今後さらに発展していく道標として「積水化成品グループ100年ビジョン」を策定しました。その中でヒューマンライフ(生活)分野、インダストリー(工業)分野、環境・エネルギー分野を中心に「グローバルに顧客から信頼されるプラスチックス・ソリューション・カンパニーを目指す」という将来像を示しました。また連結売上高において2009年度に達成した1,000億円を2019年度に2,000億円に倍増する目標を掲げています。
「当社は『100年ビジョン』の実現に向けてグローバル展開の加速や経営基盤の強化など様々な施策を実行しています。その一環として事業活動を支えるICT戦略において重要なテーマとなったのが、導入後20年以上が経過し老朽化してきた工場の基幹システムの刷新でした。20年ぶりの刷新であったため、システム化すべき業務要件が多数あり、2006年から2013年まで長期にわたるプロジェクトとなりました」と、情報システム部業務システムグループ主査山下和男氏は話します。
基幹システムとの連携、使いやすさ、柔軟性がFLEXSCHE採用のポイント
経営戦略本部 情報システム部
業務システムグループ 主査
山下 和男 氏
積水化成品工業グループの工場における基幹システムは、工場の様々な業務(在庫管理、入出庫管理、原価管理など)の支援を目的に開発されています。従来の基幹システムはメインフレームで稼働していましたが、システムの老朽化をきっかけにシステムをオープン化し全面的に刷新することになりました。また従来から課題であった工程計画情報を基幹システムに自動で取り込むことも重要なテーマとして位置付けられました。
「従来、各担当者はExcelで工程計画を作成していました。Excelのデータをシステム的に基幹システムに取り込むにはいろいろな問題があり、また手入力するには情報が膨大であるため工程計画情報を基幹システムに取り込むことができていませんでした。その結果、工程計画情報を生産管理システムに活用できず、生産実績の情報を基幹システムに手入力し生産管理システムに利用していました。業務の効率化や生産管理システムの有効利用を図るべく、基幹システムに工程計画情報を取り込む仕組みが求められていました」と山下氏は話します。
Excelによる工程計画の変更は、各担当者が自由に計画調整できる反面、どうしても手間と時間がかかります。そのため計画変更の情報を現場に迅速にフィードバックすることができていませんでした。計画変更は電話で現場に連絡していましたので情報が正確に伝わらず、ミス等が発生してしまうリスクがありました。独自に工程計画システムを構築している工場もありましたが、どうしてもExcelと比較してしまい「使い勝手が良くない」という声が上がってしまいます。そのため、同社は基幹システムの刷新とともに生産スケジューラの導入検討を開始しました。
同社では1.業務要件に応えることができる柔軟性、2.新基幹システムとのデータ連携のしやすさ、3.Excelを超える使いやすさの3つのポイントで生産スケジューラを評価。その結果、以下の理由によりFLEXSCHEを採用しました。
1. 業務要件に応えることができる柔軟性
FLEXSCHEと他の製品で大きな差が生まれたのが柔軟性でした。「FLEXSCHE自体が持つ柔軟性はカスタマイズの最小化につながるとともにアドイン開発も容易にします。当社独自の業務への対応に関してすべて開発元に依頼していてはコストも時間もかかります。FLEXSCHEのように柔軟にアドイン開発ができる製品は他に見当たりませんでした。FLEXSCHEなら運用後、現場から要望があったときにも迅速に対応できます。当社がアドイン開発した例としては、現場が利用する工程表に指示を入れるための入力画面などがあります」と山下氏は話します。
2. 新基幹システムとのデータ連携のしやすさ
データベース等を利用しなくても簡単に基幹システムに工程計画情報を取り込めること、また追加で連携したい情報があった場合でも容易にデータ連携できるかどうかが重視されました。「FLEXSCHEには標準で他システムとデータマッピングできる仕組みが用意されていました。工数をかけず簡単に工程計画情報を基幹システムに取り込める点を評価しました」と山下氏は話します。
3. Excelを超える使いやすさ
生産スケジューラを導入することでExcelを使った工程計画を廃止することにしたので、Excelを超える自由度と操作性が求められました。「ガントチャート上で作業を任意の日時や資源にドラッグしてスムーズに手修正できるなど、FLEXSCHEの優れたユーザーインターフェースを高く評価しました。工程変更の際も柔軟な対応が可能となり、現場にも迅速にフィードバックすることが可能です」と山下氏は話します。
積水化成品天理、同社岡山製造部、積水化成品関東の3つの工場にFLEXSCHEを導入
PSP食品容器
基幹システムの刷新は2006年から開始し2013年に完了。FLEXSCHEは積水化成品天理、同社岡山製造部、積水化成品関東におけるPSP(発泡ポリスチレンシート)の生産ラインに導入されました。
積水化成品工業にはPSPとEPS(発泡性ポリスチレンビーズ)の2つの事業の柱があります。PSPはポリスチレンと発泡剤を押出機に投入し、金型により円筒状のシートに押出発泡させ、厚さ1mm~3mm、幅約1m、長さ100mを超える円筒状の巻物をつくります。
FLEXSCHEが導入された3つの工場でつくっているPSPは大きさや色、フィルムの貼付など工場ごとで生産工程に違いがあります。「最初に導入した積水化成品天理のFLEXSCHEをモデルとして他の工場に展開しています。基本的な姿勢は各工場固有の要望に対しカスタマイズは行わないということですが、『どうしても』という場合にはFLEXSCHEにアドイン開発を実施しています。複数の工場に生産スケジューラを展開するには『どうしても』が必ず発生するため柔軟性はとても重要です」
エスレンシート
生産すべき品目、量、日時をオーダーデータとしてFLEXSCHEに入力し、数量に基づき工程時間などを計算させ、製造ラインへ作業を割り振っています。FLEXSCHEで作成した工程計画情報を基幹システムに取り込こみ、工程表や生産指示書を印刷し、生産現場に配布しています。急な計画変更をしなければならない場合でも迅速かつ正確に変更結果を生産現場に伝えることができるようになり、ミス等のリスク回避につながっています。
はがせるトレー
基幹システムに工程計画情報を自動で取り込めることから、原価管理においても工程計画情報を容易に有効活用できるようになりました。基幹システムとの連携における工夫について山下氏は次のように話します。「当社の事情により、品名マスタの統一は品種数が多いうえに全社的かつ複雑に業務がからんでいるため一筋縄ではいきません。FLEXSCHEを導入する際、品名マスタをどのように利用するのかをいろいろと議論しました。最終的には基幹システムとFLEXSCHEの両方で品名をチェックし、不整合が起きない仕組みをつくって運用しています」。
グローバル化に向けて海外拠点へのFLEXSCHE導入も検討
今後について「当社のFLEXSCHEの使い方ではFLEXSCHE本来のスケジューリング能力を十分に活用しているとは言えません。今後はもっとFLEXSCHEを研究し、活用の幅を広げていきたいと考えています。現在は生産実績情報をFLEXSCHEに連携していませんが、生産効率を高めるためにも生産実績情報をFLEXSCHEにフィードバックしていかなければならないと考えています。また将来的にはいろいろな情報を元にFLEXSCHEでさまざなシミュレーションを行い、原材料の発注にも活用してみたいと思います」と山下氏は話します。
FLEXSCHEの導入に手ごたえを得た同社は海外生産拠点への導入・展開も目論んでいます。「グローバル化を進めるうえで計画業務の標準化や属人化からの脱却は海外生産拠点における重要なテーマです。またPSPやEPSなどの中間原料を最終製品に成形するグループ会社の工場も基幹システムの刷新を考えており、FLEXSCHEの導入を検討中です」
世界を舞台に活躍するプラスチックス・ソリューション・カンパニーとしてさらなる飛躍を目指す積水化成品工業。同社の挑戦と成長を支える工場の生産性向上にこれからもFLEXSCHEは貢献していきます。
導入企業概要
積水化成品工業株式会社
本社 | 大阪市北区西天満2丁目4番4号 |
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設立 | 1959年10月1日 |
資本金 | 16,533百万円(2014年3月31日現在) |
売上高 | 109,923百万円(連結)(2014年3月期) |
従業員数 | 456名(単独) 1,833名(連結)(2014年3月31日現在) |
営業品目 | エスレンビーズ、エスレンシート、ピオセラン、ライトロン、セルペット、ネオミクロレン、その他発泡樹脂製品。テクポリマー、テクノゲル、その他機能性材料。 農水産資材、食品容器、流通資材、建築資材、土木資材、自動車部材、車輌部品梱包材、産業包装材、およびその他関連商品・システム |